ショートフィルムコンテスト

◆はじめに◆

 お陰様で小田原映画祭は今年度で第11回目となりました。メインイベントの1つであるショートフィルムコンテストにおける応募作品のレベルは年々向上してきており、映像制作に対する関心が高まってきていることを強く感じています。機材の進化もさることながらスマホなどで手軽に動画が取れるといった便利さが貢献していることは間違いありません。一部のプロの方々でしか制作できなかったものが今では、スマホ、タブレットといった情報技術により手ごろな値段、使い易さの実現で誰もがどこでも簡単に映像制作ができる時代になりました。自分の考えや訴えたいことを映像で表現することが当たり前、さらにはインターネットに代表されるように自分で作った作品を瞬時に世界に向けて発信できるようになりました。こうした自由な環境が加速していく中、今後の課題としてコンテンツの質がより厳しく問われることになっていくと想像します。小田原映画祭では、こうした時代においても活躍できる映像クリエイターの発掘、育成に主眼を置いて活動してきました。今後もこの考え方のもと、多くの映像クリエイターの方々を支援していきたいと考えています。
 今回は、93作品の応募がありました。地域も北は北海道、南は沖縄まで広範囲に渡っています。主催者側としては、うれしい限りです。応募されたすべての方々に心より御礼申し上げます。既に、小田原市民による審査でグランプリ候補を11作品まで絞らせていただきました。最終日の特別審査員による審査でこの中からグランプリはじめ各賞が決まります。どうぞお楽しみに!!
 小田原映画祭としては、今後もショートフィルムコンテストを続けてまいります。来年以降も老若男女問わず、より多くの方々からの応募をお待ちしております。
(ショートフィルムコンテスト担当:花谷慎二)

◆各賞◆

グランプリ 応募作品の中で最も優れた作品に授与
審査員特別賞 審査員の評価が高い作品に授与
市民スタッフ賞 市民スタッフの審査で最も審査得点が高い作品に授与
西さがみ賞 西さがみ地域に関連した内容でかつ審査員の評価が高い作品に授与

◆審査員紹介◆

「三沢和子」
◉三沢和子(映画プロデューサー)
 1951年東京生まれ。早稲田大学在学中よりジャズピアニストとして活動のかたわら、1977年「水蒸気急行」の宣伝、1978年「ライブイン茅ヶ崎」の製作補佐。1981年「の・ようなもの」製作時に株式会社ニューズ・コーポレイションを森田芳光と共に設立。以降、プロデュース作品多数。
「吉野竜平」
◉吉野竜平(映画監督)
 1982年、神奈川県出身。法政大学在学中よりNCWにて映像制作を開始。大学卒業後、日本映画学校にて撮影照明を専攻。新興宗教にのめりこみ、破綻する親子を描いた『あかぼし』('13)で長編デビュー。最新作『スプリング、ハズ、カム』('17)では、落語家・柳家喬太郎とE-girls・石井杏奈をW主演に迎え、父と娘の日常を繊細に描いた。
「實方恵太」
◉實方恵太(ソニーピクチャーズエンターテインメント広報ディレクター)
 1968年神奈川県生まれ。小田原高校、立教大学法学部卒業。ロンドンの日本大使館勤務後、ソニーに入社。クアラルンプール、ニューヨーク、サンディエゴへの駐在を含め、ソニーグループの様々なビジネスを経験し、2015年1月にソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、コーポレート広報部のディレクターに就任。最近は、月に一度は生まれ育った南足柄/小田原で週末を過ごす。
「露木栄司」
◉露木栄司(映画プロデューサー)
 小田原市出身。第1回小田原映画祭から携わる。ニューシネマワークショップのクリエイターコースディレクター。若手監督の作品にプロデューサーとして参加。主な作品に『自転車とハイヒール』(02/深川栄洋監督)、『凍える鏡』(08/大嶋拓監督)、文化庁委託事業ndjc:若手映画作家育成プロジェクト作品、『死神ターニャ』(15/塩出太志監督)、『ポエトリーエンジェル』(17/飯塚俊光監督)等。

ショートフィルムコンテスト入選作品

キミの夏、聞いたよ (7分 30秒) ☆☆☆☆
「キミの夏、聞いたよ」
監督・脚本: イナガキマサヒロ

◆スタッフ
撮影: 島根義明
録音・整音: 亀井邪馬人
編集: 稲垣壮洋
キャスティング: 高峰暖
◆キャスト
森川馨華 栗原崚吾 阪上稔
<ストーリー>
甲子園を目指す高校球児にほのかに思いを寄せる女子高生。地方予選で負けてしまった田中を励まそうと踏切で近寄り励ますつもりがついつい。
<コメント>
女子高生の淡い恋心を描いた作品。殺伐とした現代のオアシスのような感じさえ受ける。田園風景をバックにほのぼのとした描写が素晴らしい。(花谷慎二)
THE ANCESTOR (17分 45秒) ☆☆☆☆
「THE ANCESTOR」
監督 小原正至

◆スタッフ
音楽:別野加奈
プロデューサー:長谷真行
◆キャスト
森山周一郎 粟島瑞丸
<ストーリー>
暗く静かな闇の中、遠くから誰かに呼ばれる声がして目が醒めると目の前には一人の悩める青年。3016年の世界に生きる自分の子孫に、悩み事の解決方法の指南役として無理矢理召喚されたのだ!
<コメント>
先祖と子孫が憎めないキャラ、近未来的バックグラウンドも含めて凄い。そして会話がいちいち言い得て妙である。女と男を分かっていると笑える!いや笑えない⁈未来の本当かも知れない怖ささえ感じて。 (大塚さとみ)
好雨、時節を知る (5分 9秒) ☆☆☆☆
「好雨、時節を知る」
監督: 中里洋一

◆スタッフ
撮影:角田真一
録音:山田 均
ヘアメイク:河本 茜
助監督:加藤拓人
◆キャスト
山口まゆ 小川智彩葵 荻原利久
佐生有語 さくらかおり
<ストーリー>
高校の美術室で一人、絵を描く少女。クラスメイトに「あんまり笑わないよね。思いっきり笑うこと、ないの?」と言われ、ふと思う。「私って心がないのかな」と。そして、少女は泣き虫だった幼い頃を追憶する。大好きだった父のこと。その父がくれた涙壺のこと。ドライブに連れて行ってくれた時のことを…
<コメント>
恋の予感を想像させる導入から少女の哀しい想い出に誘われる。短い映像の中で彼女は大人になっていく。 (大澤ますみ)
靴屋の恋 (20分) ☆☆☆☆
「靴屋の恋」
監督・撮影・編集: 河村永徳

◆スタッフ
脚本: 藤原良
◆キャスト
佐藤良洋 中川ミコ 中野じゅねん
流しの信行 さとう珠緒
<ストーリー>
靴屋の店長は、何事にも熱心。結婚願望があるものの彼女すらいないのが悩み。そこに好みの美女が現れるが、その彼女にある問題が。しかし敢然と立ち向かう店長、そこまでやるの。
<コメント>
婚期を逃しそうで焦っている店長の姿をコメディータッチで描いており、観るものを最後まで飽きさせないところは完成度が高い。テンポも良くあっという間の20分。(花谷慎二)
AUTUMN OF WOMAN (12分 12秒) ☆☆☆☆
「AUTUMN OF WOMAN」
監督・脚本: 川崎 僚

◆スタッフ
撮影: 島大和 、録音:木村圭祐
プロデューサー: イリエナナコ
助監督: 石橋夕帆 泉志乃
◆キャスト
宍泥美 見里瑞穂
<ストーリー>
「婚活」に明け暮れる 恵 の部屋に、就活中の妹・結が訪れる。恵は、弱音を吐く妹を慰めているうちに、若い妹が羨ましくなって・・・。
<コメント>
二人の会話と感情の変化から、「就活」と「婚活」のそれぞれの厳しさと思い通りにならない苦しみがリアルに描かれ、姉妹の絆が胸に迫る。 (諸星正美)
ここにいる (15分 50秒) ☆☆☆☆
「ここにいる」
監督・脚本・編集: 高山直美

◆スタッフ
撮影: 道川昭如、音響: 丸池嘉人
メイク: 田部井美穂
音楽・津軽三味線: 川嶋志乃舞
◆キャスト
仙田遥平 野口聡人 藤原未砂希
<ストーリー>
誰からも見えない男。そこにやって来たケンカ中のカップル。カップルの男には見えた。そして、カップル女には乗り移る。さあ、どうなる!
<コメント>
話の展開と狙いのカメラワークの不安定な感じがマッチしていて、気づけば引き込まれていました。三味線の音楽も相乗効果になっていますね。 (大塚さとみ)
100年の謝罪 (19分 47秒) ☆☆☆☆
「100年の謝罪」
監督・脚本: 渋谷悠

◆スタッフ
撮影監督: 中島悠、撮影: 中島唱太
奥住洸介、照明:森田新作
編集: 小堀由紀子
◆キャスト
たんじだいご 石鍋多加史 森田彩華
田村愛 長谷川葉生
<ストーリー>
道夫は父親の浮気を目撃してしまう。息子は父からの謝罪を待つが、ないままに父は他界する。100年の時間を経て届く「ごめんなさい」の物語。
<コメント>
冒頭の「昭和」を強く感じる場面など、ていねいに作り込まれたディティールが、見どころ。これが100年という長い時間のスケール感を支えている。 (諸星正美)
結婚騒選挙 (16分 41秒) ☆☆☆☆
「結婚騒選挙」
監督・脚本・編集: 古新 舜

◆スタッフ
撮影監督: 黒石信淵
照明: 松村志郎
録音・整音: 加藤ゆい
音楽: TATSUYA
ヘアメイク: 西藤恭子
プロデューサー: 松本沙織
◆キャスト
土井克馬 大竹佳那 吉良達也
むかい誠一 和村康市 石原 瞳
<ストーリー>
ギター片手に路上流しで体当たりの生活を送る達夫と同棲する結夏のお腹には赤ちゃんができた。結婚の許しを得るために実家を訪問した二人だが、結夏の父は二人の結婚を簡単に許すわけにはいかない。父の指名した男・光と一週間後に8つのお題で争うことになった。
<コメント>
非の打ちどころのない相手との一騎打ち。勝敗は最初からわかっているようなものの、達夫の不器用で驚愕の返答ぶりと最後のどんでん返しにご注目。娘を奪われる父の複雑な胸の内がよく描かれている。 (角田真美)
コロッケとヘソクリ (17分 24秒) ☆☆☆☆
「コロッケとヘソクリ」
監督・脚本・制作: 米谷志緒

◆スタッフ
撮影・編集: 高橋誠二
音声・撮影助手: 奥村翔平
◆キャスト
梅木彩羽 飯塚優 木村さちよ
<ストーリー>
粉雪の舞う街・函館。玄関の扉の向こうには母お手製のコロッケが待つ。一人娘・彩羽は東京へ出て「自分を変えたい!」と思い始めているが両親に言い出せない。それを知った父の反応、母の反応は・・・?
<コメント>
娘が出ていく日なんて考えたくないものだろう。それでも何とか後押ししようとする親心が部屋のどこかにあるヘソクリに見え隠れする。それにしても母お手製の揚げたてのコロッケがおいしそう。 (角田真美)
頭上の色論 (20分) ☆☆☆☆
「頭上の色論」
監督・撮影・編集: 吉田岳男

◆スタッフ
録音: 増本竜馬
ヘアメイク: 黒澤舞子
◆キャスト
大田恵里圭 木全俊太 本多美久子
川島祐樹 橘あるひ 鈴木博之
井上秀之
<ストーリー>
美術部在籍の香奈は描きたい画が分からず、憧れる先輩にも気持ちを言えず悩んでいた。そんな折り、突然、人の頭の上に色のついた靄のようなものが見えるようになる。自身の変化に戸惑いながらも、あるべき姿を模索していく。
<コメント>
高校生という多感な時期の心の揺れを、美術部という設定を生かし、ファンタジーの味わいを加えて描いている。主人公の表情をカメラが丁寧にとらえ、感情の変化を自然に観客に伝えている。 (中村 巧)
右目のヒーロー (10分 7秒) ☆☆☆☆
「右目のヒーロー」
監督: 端野昭彦

◆スタッフ
撮影: 北村洋 中川裕康
照明: 森川久
VFX: 蔡本英賛 小野響
編集: 加藤由宇 服部正樹
音楽: 北山大介
◆キャスト
高橋明文 山本香織 下間都代子
田口哲 南光愛美 美香本響
<ストーリー>
人の近い未来が見える右目を持った探偵。彼の噂を聞きつけ依頼者は増えるが、ハードボイルドの世界にあこがれる彼には、不倫調査などの退屈な依頼ばかり。しかし、ある男の不思議な依頼をきっかけにヒーローになっていく。
<コメント>
生活感あふれる街場の探偵ストーリーが、テンポよく後半一転してSFっぽくなる。荒唐無稽にも見える展開になぜか違和感は覚えない。むしろ楽しめるのは、やはりユニークなキャラクターのせいだろう。 (中村 巧)