ショートフィルムコンテスト

◆はじめに◆

 小田原映画祭は、今年で12回目を迎えます。その中でショートフィルムコンテストは、年々充実してきており今年度の応募数は139にまで達しました。昨年の93作品に比べると大幅増です。応募数の内訳を見てみますと20歳代(昨年比17%増)、30歳代(昨年比17%増)が大幅に増え、小田原映画祭の目指している若手クリエイターの発掘、育成という観点からすると本当に喜ばしい結果になりました。また、映像の質、演技力、シナリオの観点からも全体のレベルが向上していることをスタッフ一同実感しています。全国からの応募者の皆様に心より御礼申し上げます。既に市民スタッフによる審査は終了し、8作品が入選として選ばれました。この8作品の中から各業界を代表した審査員による最終審査で各賞が決定します。どの作品もかなりの力作です。さてグランプリは、どちらに。皆様、どうぞお楽しみに。
 今年度より新しい賞、阿藤快賞を設けました。長年実行委員長としてご活躍された俳優故阿藤快さんにちなんで賞を名付けました。この賞は、作品に対する評価だけでなくその演技を最大限称え、入選作品の中で最も印象に残った俳優に栄誉を授与するものです。さて第1回目の栄誉を手にするのは誰の手に・・・。今からワクワクしています。
 最終日(9月16日)には、小田原コロナシネマワールドの大スクリーンにおいてこの8作品すべての上映会が行われます。上映会ではゲストのお話や入選作品監督へのインタビューがあります。ゲストからの業界のお話、入選作品がどのように作られたかなど監督のお話を直接聞くことができますのでどうぞこのチャンスを逃さず、素晴らしい入選作品をご鑑賞下さい。スタッフ一同心よりお待ちしております。
(ショートフィルムコンテスト担当:花谷慎二)

◆各賞◆

グランプリ 応募作品の中で最も優れた作品に授与
審査員特別賞 審査員の評価が高い作品に授与
市民スタッフ賞 市民スタッフの審査で最も審査得点が高い作品に授与
阿藤快賞 入選作品の中で最も印象に残った俳優に授与

◆審査員紹介◆

「三沢和子」
◉三沢和子(映画プロデューサー)
 1951年東京生まれ。早稲田大学在学中よりジャズピアニストとして活動のかたわら、1977年「水蒸気急行」の宣伝、1978年「ライブイン茅ヶ崎」の製作補佐。1981年「の・ようなもの」製作時に株式会社ニューズ・コーポレイションを森田芳光と共に設立。以降、プロデュース作品多数。
「吉野竜平」
◉堀口正樹(映画監督)
1965年大阪市生まれ。関西大学法学部卒。
森田芳光監督、阪本順治監督など数々の監督のもとで助監督として経験を積む。
オリジナル脚本による映画『ショートホープ』(第15回全州国際映画祭コンペティション部門正式出品)で監督デビュー。脚本家としても映画『の・ようなもの のようなもの』のオリジナル脚本を手がける。
「實方恵太」
◉實方恵太(ソニーピクチャーズエンターテインメント広報ディレクター)
 1968年神奈川県生まれ。小田原高校、立教大学法学部卒業。ロンドンの日本大使館勤務後、ソニーに入社。クアラルンプール、ニューヨーク、サンディエゴへの駐在を含め、ソニーグループの様々なビジネスを経験し、2015年1月にソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、コーポレート広報部のディレクターに就任。最近は、月に一度は生まれ育った南足柄/小田原で週末を過ごす。
「露木栄司」
◉露木栄司(映画プロデューサー)
 小田原市出身。第1回小田原映画祭から携わる。ニューシネマワークショップのクリエイターコースディレクター。若手監督の作品にプロデューサーとして参加。主な作品に『自転車とハイヒール』(02/深川栄洋監督)、『凍える鏡』(08/大嶋拓監督)、文化庁委託事業ndjc:若手映画作家育成プロジェクト作品、『死神ターニャ』(15/塩出太志監督)、『ポエトリーエンジェル』(17/飯塚俊光監督)等。

ショートフィルムコンテスト入選作品

えんむすび (19分57秒) ☆☆☆☆
「えんむすび」
監督・脚本・編集:河村永徳

◆スタッフ
製作:清宮武雄
撮影:飯岡聖英
録音:藤原良
◆キャスト
二宮芽生、中村誠治郎、田中冨美惠、中野じゅねん、古川真里
<ストーリー>
28歳の田中ミコは、巫女の仕事をするうちに適齢期を逃し焦っている。ネットで「良縁に恵まれる」と噂のおむすび屋を発見。イケメン店員のマサオに一目惚れするが、彼にはある過去が・・・。
<コメント>
「えんむすび」を買いに店に通うミコの姿がいじらしい。ミコと巫女、おむすびと縁を結ぶとそれぞれ掛け言葉の妙も効いている。やっぱり、おむすびは人の手で握るからこそいいんだろうな。
(角田真美)
正装戦士スーツレンジャー (10分07秒) ☆☆☆☆
「正装戦士スーツレンジャー」
監督:上田慎一郎

◆スタッフ
プロデューサー:伊藤主税、岩崎雅公
脚本:松本純弥、上田慎一郎
撮影:曽根剛、録音:古茂田耕吉
美粧:菅原美和子、衣装:加藤みゆき
制作:吉田幸之助
◆キャスト
石井貴就、金刺わたる、静恵一、サイボーグかおり、濱田よりか
<ストーリー>
街で悪さを働く悪の怪人の前にスーツ姿の5人の男女が現れる。彼らの名は〝正装戦士スーツレンジャー″。各々の職業を駆使して怪人に立ち向かう。
<コメント>
なんとなく幼い頃テレビで見ていた○○レンジャーを彷彿させる、懐かしさ漂う世界。怪人と一緒に現れる黒い戦闘員もいい味。勧善懲悪で筋はわかり切っているからこそ、最後まで昔のヒーローたちと重ねて見る楽しさがありました。
(角田真美)
dear TOKYO (20分00秒) ☆☆☆☆
「dear TOKYO」
監督・企画・脚本・編集:堀井綾香

◆スタッフ
助監督:広田智大、撮影:川添彩
録音・編集補佐:望月葉子
録音:田中秀樹、制作:石川絢子
主題歌:富山優子
◆キャスト
堀井綾香、野川大地、矢作優、嶺豪一、田中爽一郎、高橋U祐 ほか
<ストーリー>
女は東京という街に失望した。男は東京という街で自分を諦めた。昼と夜の間の薄暗い空の下、屋上で遭遇した2人はそれぞれの胸中を吐露する。
<コメント>
と場所と現れた相手を得てずっと押し殺していたものを吐き出した女、戸惑いながらも受けとめてちょっとだけ救われた自己嫌悪の若い男。たたみかけている映像が、内面とシンクロして効果的だ。
(大塚さとみ)
林檎は樹の近くに落ちる (18分20秒) ☆☆☆☆
「林檎は樹の近くに落ちる」
監督・脚本: 吹原幸太

◆スタッフ
撮影:吉田ハレラマ、録音:竹内久史
音楽:西山宏幸、企画:渡辺優美
プロデューサー:竹岡常吉

◆キャスト
渡辺優美、加藤慎吾、吉田翔吾、美津乃あわ、
金井勇太、伊藤麻実子 竹中直人
<ストーリー>
父親の葬儀で久しぶりに家族が一緒になる。そこに父親と確執のあった娘も顔をだす。さらに父親の知人と名乗る男が乱入し、父親の秘密を家族が知る。娘の行動は如何に。
<コメント>
全体にコメディータッチに仕上がっているが最後に蛙の子は蛙が見えて納得。演技の素晴らしさだけでなく展開がテンポよく思わず引き込まれてしまう作品だ。
(花谷慎二)
位置について、 (16分01秒) ☆☆☆☆
「位置について、」
監督・プロデューサー: 飯野歩

◆スタッフ
脚本:市村政晃
音楽:中村康隆(夜長オーケストラ)
撮影・照明:松尾誠、録音:相田義敦

◆キャスト
榊滉太郎、花里紗知穂、逢生多晄、三谷ありさ、鈴木啓太
<ストーリー>
「町の銭湯、夢の実現のため海外留学の出発の日、結衣の心残りは、ギタリストをやめて家業の銭湯を継いだ兄と病気がちの母。そんな日に限って訪れる個性豊かな客達。
<コメント>
とにかく、テンポが小気味よい。たくさんの登場人物それぞれが微妙に絡み合いながら、ストーリーは進む。わくわくするドタバタの中、母親の真理をつく言葉。脚本がよく練られていると思いました。
(大塚さとみ)
ある日本の絵描き少年 (20分16秒、本編18分50秒) ☆☆☆☆
「ある日本の絵描き少年」
監督・脚本:川尻将由

◆スタッフ
キャラクターデザイン:枩岡佳範、
吉川健司/NPO法人かうんと5
プロデューサー/広報:田上和佳
音楽監督:永井秀和
実写監督:岡田真樹

◆キャスト
上原剛史、矢島康美、あべけん太、石井佳子、鈴木崇太
<ストーリー>
絵を描くのが好きな子供だった主人公は、やがてマンガ家になる夢を持つ。本人の才能も努力も実り、またチャンスにも恵まれ成長していくが・・・。
<コメント>
幼児の描いた絵がアニメになって動く。成長とともに変わっていく気持ち、それが描く絵にも現れる。それがまたアニメとなって動く。アニメ表現を楽しんでいるうちに、やがて哀しさも感じる、そんなお絵かき大好き少年の半生記です。
(諸星正美)
わたしが発芽する日 (19分54秒) ☆☆☆☆
「わたしが発芽する日」
監督:野本梢

◆スタッフ
プロデューサー:小川和也
撮影:白川祐介 
ヘアメイク:みやちひろし
助監督:羽切裕介
記録:北山由季

◆キャスト
藤原麻希、堀春菜、本間淳志、松木大輔、松本卓也
<ストーリー>
紗耶と優子の姉妹は、親と離れ、二人で暮らしている。姉の紗耶は結婚を考えるが、一人だけでは暮らしていけそうもない妹のことを考えるとふみきれない。それを察して妹は・・・。
<コメント>
生き難さを抱えた妹のことを思いながら、自分自身の人生を見つめなおそうとする姉。姉妹や家族、恋人との関係を通じて、いつでも、誰にでも、「気付き」や、「成長」の時が訪れると思わせてくれる作品。小田原の海岸や部屋での姉妹の会話が印象に残ります。
(諸星正美)
世界で一番最後の魔法 (15分35秒) ☆☆☆☆
「世界で一番最後の魔法」
監督:森田博之

◆スタッフ
撮影:佐藤 康祐
照明:加藤 学
録音:中野 雄一
ヘアメイク:田村友香里
音楽:足立 美緒

◆キャスト
中神 円、ミネオショウ
<ストーリー>
SNSを通して出会った二人。魔法使いを名乗る女は、実は全く魔法なんて信じていないのに出会った男は執拗に魔法の話を。期待していない魔法の威力が最後に。
<コメント>
SNSによる出会い、夜のドライブ、失恋、魔法と現代の若者を象徴するエッセンスがたっぷり。夢を諦めるな!!夢の夢だが魔法が使えたらなんて思ってしまう。
(花谷慎二)